ぬるりとした感触が鈍く手に伝わる。
血で手から武器がすべり落ちそうになるの必至でこらえて、柄を握り直した。
「いいから、退けっ」
盾で敵の攻撃を押し返しながら、戦列に並んだ戦士の男が怒鳴った。
Key : 負傷・疲労による能力値の低下
頭数でいうならば敵より優勢ではあったが、こちらは負傷者の数も多い・・・。
戦線を半歩突出している戦士の男がもう一度、後方の仲間に向かって怒鳴った。
「フィニアン、そいつを連れて先に退け!」
返事のないうちに、背後からぐいと腕を強引に引かれ、思わずよろめく。
名を呼ばれた革鎧の軽装の戦士が、戦列の男の言葉を実行に移していた。抜けた穴を塞ぐように、代わりに女神官が剣を構えて前へ出た。
――まさか。戦士と名乗る身で真っ先に逃げ出すなど冗談ではない。
ここに残ると拒否しようとすると、フィニアンは蔑むような厳しい顔で「あんたが退かないと、他の連中がいつまでも撤退できない」と言った。
容赦のない言葉が胸を突く。その不意に集中が切れて、剣が手から落ちた。
再三、早く退けと、声があがる。その声に今度は「わかった」とため息のように返事をした。
鎧で重い体を引きずるように動かしながら、しっかりと剣を握れないのは、血ですべるからだけではないのだと今さらながら気付いていた。
掌に塗れた血をローブの裾に押し付けてぬぐうと、剣を拾った。
拾い直した剣を杖のようにして歩きだす。
いつもは手に吸い付くような手ごたえを感じる剣の重さが、今は枷のように重かった。
◆解説◆
ゲームシステム的なことは苦手なので、詳しい説明は省きますが、重傷状態や、麻痺、魔法の影響下にある場合などに、キャラクターの能力が下がることがあります。
大量出血してふらふらの人が、いつも持っている重たい剣や装備で、いつも通りに行動できないという、ごく当たり前の状態なのですが、戦闘中は致命的です。
たとえば、重い剣を扱えなくなったり、魔法を詠唱する気力がなくなったり、気絶しやすくなったり、歩行が困難になったりなどがあります。
怪我などの負傷状態であれば、傷の手当てなど回復してくれば多少は能力値も回復してきますが、全ての能力値(CONなど)が完全に回復するまでには何日かかかることもあります。
1度、こういう状態に陥ってからでは回復に時間がかかりすぎるため、できることならば、わずかでも回復するようにこまめに手当てなどをすることが必要です。
テーマ:TRPG - ジャンル:ゲーム