Lavistricaの歩き方

NetTRPG「LAVISTRICA」の世界観とその遊び方をライトノベル感覚で綴る冒険譚ワールドガイドブックです。

偽りの報酬

「それで、鑑定の結果はどうだった?」
「ちっとは高く売れたのかい?」
 二人が薄暗い奥のテーブルに腰掛ける間もなく、席についていた三人の冒険者たちが口々に成果を聞きたがった。
 彼らが命がけで手に入れた戦利品は、錆びた剣と朽ちかけた皮鎧、それと古びた鞘のついた護身用の短剣だった。
 いずれもアンデッドウォーリアーの腐臭を帯びた体から剥ぎ取ったものだ。
「剣と鎧は安く買い叩かれた。たったのこれだけだ・・・」
 前衛でアンデッドの首を刎ねた傭兵然とした男が二人に小さな皮袋を見せた。中に硬貨がはいっているようだが、少なく見積もっても金貨1枚にも足りないようだ。
 椅子に腰を下ろしてフードを外すと、黒い髪を男のように短く刈り上げた女冒険者が、「まあ、そんなものね」と頷いた。
「こっちはこれだけよ」
 そういって、テーブルの上に置いたのはその袋よりも遥かに少ない金額だった。明らかに不満そうに男たちがため息をついた。
「ターラ! あんた、高く売るからって、わざわざ別の店にそいつを売りにいったんじゃなかったのか?」
 人相も素行も悪い、裏通りの匂いをさせた男が疑わしげに彼女の顔を見据えて問う。
 彼の言葉通り、あの護身用の短剣は武器屋に持ち込むよりも別の専門の店で売った方がいいとターラが強く勧め、相談の結果、ターラ自身が よく知っているという専門店へ売りにいくことになったのだった。
 少しでも高く売るには馴染みであるターラが行った方が多少は違うと主張したせいでもあった。
 だが、スリや盗み、鍵開けなどを得意とする彼女の意見を、誰もが全面的に信用したわけはなかった。
 誰かもう一人一緒に同行するということで、ターラは別行動を取ることになったのだ。
「あたしの見立てが間違ってたのよ。悪いわね」
 行く前の態度から一変して、彼女はあの短剣はまったくの価値もなかったと主張した。
「おいおい。あれだけ目の色変えといて、どういういい訳だ。
 まさか、信用してもらえるとは思ってないんだろう?」
 遠慮のない敵意を閃かせて男がターラに詰め寄ると、お互い様よと彼女は皮肉っぽい笑みを返した。闇を纏った女の艶やかさがあった。
 凄みを利かせても効果のない女に舌打ちをうつと、ターラと共に帰ってきたもう一人の冒険者に詰問した。
「ニィア。お前さんも一緒に店に入ったんだろうな」
「・・・ああ、もちろん」
 戦利品になど無関心なのか、感情を表す表情乏しいのか、彼女は無感動な視線を返すと、そんなどうでもことを聞くなと言わんばかりの様子で答えた。
「あの短剣にはそこに支払われた金の価値しかなかったよ」


 宵闇の中を白い陰が走り寄ってくると、薄汚れた深緑のマントの裾にじゃれつくように体を摺り寄せてくる。
 月の灯りに灰色の毛が銀色に見えた。大きさはやや小柄だが若い狼だった。
 その頭を軽く撫でて共に立ち去ろうとすると、背後から呼び止める声がした。
「ニィア。待ちなよ」
 振り返ると、ターラがやってくるところだった。
彼女は狼を避けて反対側に並ぶと、ゆっくりとした速度で共に歩き出す。
 ニィアたちも黙って歩いた。月明かりのもと影がくっきりと地面に映っている。
 ニィアたち以外の影のない場所にくると、ターラは立ち止まって懐から硬貨を一枚出してニィアへと放った。
「それあんたの分よ」
 手のひらの中で金色に光る硬貨に、ニィアは目を細めた。
「・・・口止め料・・・それとも正当な分配?」
「あはは! あんたって変わってるわ」とターラが笑ったが、影になってよく表情が読めなかった。
「どういう心算で、黙っててくれたのかは知らないけど、一応感謝してるわ。
 あの男、女斬るくらい平気な人種よ」
「いいけど・・・、あの鞘は?」
 ターラは得意げな笑みを浮かべて、クロークの裾を翻して見せたが、影でよく見えなかった。おそらくそういうことなのだろう・・・。
 ニィアは呆れたようにため息を一つつくと、狼を呼んで、闇を恐れることなく夜の森へと消えていった。


 いかさま。ねこばば。ズル。横取り。隠匿。

 戦利品を自分の懐に入れてしまうような利己的な行為を取るのはありえないことではありません。
 もちろん、仲間に対しての誠実さに欠ける行動ですが、いろいろな思いや望みを抱えて冒険者は集うのですから、皆が皆、善良な冒険者であるはずがありませんし、ロールプレイをする上でも、パーティーを組む楽しみでもあります。
 また、そういう人たちに対して、どういう風に接するのか考えることで、自分のキャラクターをより際立たせるきっかけにもなります。

 利己的な行動を取る人たちを頭から嫌わずに、プレイヤーと眺めたり、キャラクターとして接したりと、余裕を持って見ることができるようになれば、よりゲームとしての世界観を楽しめると思いますよ。

 個人的には、そういうキャラクターを演じられるプレイヤーは機知に富んだ人が多いような気がして、尊敬します。
 私にはシーフロールプレイできません・・・。

◇戦利品についての参考
[報酬の分配]

テーマ:TRPG - ジャンル:ゲーム

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Author:Finnian
LAVISTRICAのGM見習い。
TRPG歴:なし

ここに書かれている世界観等は、ラヴィストリカの布教活動(笑)の一環として、少しでもファンタジー世界を感じてもらえたらと思って紹介させていただいています。

TRPG経験者からしたら、常識的なこともあるかもしれませんが、厳しいツッコミ等はご遠慮くださいませ。
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